第40回例会報告 (TI)


 師匠というのは、弟子がたまらなく可愛いものらしい。特に私のようにお粗末な弟子ほど、見るに見かねてなのか面倒を見てもらえる。出来の悪い息子を母親が可愛がるのに似ている。
 第二回発表会の半年位前、演奏曲を決めるに当たって、その頃練習していたプラッティーのソナタ(本人はそれなりに完成度が高いと信じ込んでいた)をやりたいと言い出したら、「とんでもない。レッスンの時気軽に吹いているのと本番とは大違い。ゆとりを持って吹ける曲を選ばなければいけません」と諭された。どちらが難しいか易しいかはわからないが、師匠の選曲でアルビノーニのソナタを演奏することに決めた。
 それから半年、何かと忙しい中かなり一生懸命練習し、仕上げのレッスンが近づいてきた。「もしピアニストの方のご都合がついたら合わせてみましょう」ということになり、坂井さんに無理をお願いして発表会の十日程前、お付き合い頂くことになった。
 私の腕前、仕上がり状況は普段のレッスンで充分承知している。当日は指の回らない個所、息継ぎのやりにくい個所、何度やっても突っかかる個所等を、伴奏のピアノで如何にぼろ隠ししてもらうかの戦略立案に終始することとなった。
 発表会に来てくれた人が、「こんな演奏をしていったい誰に習っているのだろう……」と言われては師匠も困る筈。プロとしての指導力を問われることは当然意識しているだろう。しかしそれ以上に、お粗末な弟子が晴れ舞台で大過無く吹き終えるよう願うのが先なのだ。坂井さんには真に申し訳ない話である。
 発表会を何とか自己満足で終え、翌月のレッスンで「先生、おかげでうまくいきました」と報告したら、「本当に良かったですね。私も嬉しいです」と我が事のように喜んでくれる。これぞ真の師弟愛というところか。
 発表会に向けての緊張が続いていたせいか、その反動でだらけたまま10月の例会を迎えてしまった。多かれ少なかれ、他のメンバーの皆さんも同じような状態ではなかったかと思う。私の場合はそれに加え前述の師弟愛に酔っていたこともある。
 通算40回、節目の例会は10月19日(日)にいつもの「蛮果」で開催された。「演奏の出来、不出来には触れない」という申し合わせを全員が守り、10年間40回よく続いている。
 今回は幹事役である私の段取りが悪く、これといった企画を考えていなかったので、次回を記念例会に相応しい会にしようということになった。例えば初参加した時演奏した曲の再演奏、研修会の合宿で相手を何度もとり替え演奏した「やさしいデュエット(ブースケ)」や「世界の民謡」をやろうという提案があった。また40回皆勤者の表彰もよいのではないかという意見も出た。楽しみである。

                                 短信12号(2004.1.25発行)より

当日の演奏曲目

活動の記録へ

トップページへ