ベルリンに在住し、国立大学の日本学科教授をしている中学時代の友人が、初夏のドイツは素晴らしい、自分のいる間に是非来いと言う。
格安航空券とC級ホテルで我慢するかわりに、芸術の都で充実した豊かな体験をしたいと彼に連絡し、オペラ・コンサートチケットの手配、博物館・美術館の催し物の確認、緑豊かな郊外の散策計画等を事前にやりとりした上、6月初めにベルリン一週間の旅に出た。
昨秋ドイツ南部の旅の帰路、ベルリンに立寄った時はチケットの手配ができず、国立オペラ劇場の前で開演を待つ紳士淑女を横目にうろうろするだけだったが、今回は攻守ところを変え、格調高く着飾って入場した。友人が気張って手配してくれた最上席は、前から5列目の中央でオペラ鑑賞には申し分ない。しかし劇場の造りが旧いせいか縦の通路が無く、遅れて中央の席に着くには全員に立って貰わないと自分の席までたどりつけない。
当日の出し物はロッシーニの最高傑作「セビリアの理髪師」。筋書きはご存知のとおり、若く美しいロジーナを見初めたアルマヴィーヴァ伯爵が、町の何でも屋、理髪師フィガロの仲立ちで邪魔者を尻目に恋を成就させるというラブ・コメディーである。親しみやすい旋律が満載されているが、聴き所はフィガロを中心とした主演者同士の掛け合い(レチタティーヴォ)で、この迫力は日本人に求められてもとても真似できないのではないか、これだけでもわざわざ聴きに来る甲斐があるなと思った。
翌々日はジャンダルマン・マルクトに再建されたコンサートハウスで、ベルリーナ・シンフォニカによるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とブラームスの交響曲第4番を聴いた。ブラームスは第4楽章の変奏にあるフルートのソロが特に好きな部分で大満足。
本場でオペラ、コンサートに触れる機会に恵まれ、大いに感激した。ベルリンは財政難もあり、貧乏な新開地の町という感じがする。うら寂しく汚く、サービスはドイツでもひときわひどいとのこと。首都としてまだまだ長い道を経ねばならない途上の街という印象を持ったが、音楽を始めとした芸術の復興にはいち早く取り組み、他の施設に先駆け音楽堂・劇場・美術館等を整備・充実させたことに対しては、敬意を表したくなる。
格調高い音楽も郊外の散策も、それぞれ素晴らしかった。しかし本音を言えば一番楽しかったのは、友人が段取りしてくれた彼の教え子のベルリン娘(早稲田と中央に昨年一年間留学した二人)との飲み会だった。二人とも臍出しの明るく賢い学生で、適当に相手国を知っている者同士の対話は、あたかも日独文化の研修会であり、国際交流・国際親善に充分貢献できたのではないか。フルート独奏団「ナナカマド」についても、大いに宣伝しておいた。彼女達の情報では、一週間前サミットで訪欧した小泉首相が、ベルリンでお忍びのオペラ見物をしているのに出くわしたとのことだった。日本一忙しい人物も、異国でガス抜きでもしなければやっていられないのだろう。
さて第39回の例会は、発表会直前(一週間前)となる7月6日(日)に「蛮果」で開催された。HIさんが不参加であったが、他のメンバーは発表会のプログラムとおりに、本番さながらの緊張感をもって粛々と演奏をした。演奏時間をチェックしたがほぼ申告とおり。あとは本番でピアノの坂井さんにフルートのミスを最大限カバーして貰うようにお願いするのみ。
準備委員長のOTさんから当日の手順について説明があり、全員で10時集合を確認し、残る一週間に最後の悪あがきをしようと励ましあい、散会となった。
短信11号(2003.10.19発行)より
| 当日の演奏曲目 |
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