私がフルートを吹いている訳

N  T  

 3年前に高校に入学した息子が、吹奏楽部でフルートを始めたのがそもそものきっかけでした。息子の新品のヤマハがひと月のうちに2回も音が出なくなり、仕方なくスペアのヤマハを買ったらその後全く支障なく直ってしまい、そんな訳で余った笛を吹いてみたら音が出てしまいました。取り急ぎ音階を60の手習いで覚え、赤トンボを吹いたらハマッちゃいましたね!
 それからは毎日5分でも10分でも吹くのが楽しみになりました。その分CDを聞いたり読書の時間が足りないのですが仕方がないですかね?
 一昨年の12月に上下入れ歯にしたら全く音が出なくなり、仕方なく吹く時だけ外すのですが、あまりに不自然なのでヤマハの先生に指導を受けて、やっと2ヶ月かけて音が出るようになりました。やっとアベマリアだと判るようになったのでした。
 去年高3になった息子が総銀のムラマツが吹きたいというので、これも仕方がないかと銀座の山野のフルートフェアにいったのが運命の別れ道でした。大枚67万円をはたいて総銀を買ったのですが、その時に中古の14Kのムラマツを発見してしまったのです。当然もう単なる貧民ですから、つぎなる手としてかみさんに『還暦祝い』で出して頂きました。おかげで息子は3年連続で神奈川県代表に選ばれ、私は望外の『金の笛』が手に入り、まこと人生はタイミングと祝杯を挙げた次第です。
 TI先輩との出会いも偶然のたまものでした。昔から美人の妹の弘子さんと中学のクラス会で会った折に、『ナナカマド』の発表会を教えて頂き、オーバー60が生き生きと見事な演奏をくりひろげる様に深く感動しました。トラベルソでバディネリを吹かれてしまうと、私はフルートでも出来そうにないのに?
 2回の研修会を経てメンバーに入れて貰えたのはホントにラッキーでした。何でも合わせてくれる万能ピアニストの坂井さん、ジジイの皆様、これからも気弱な若輩を宜しくご指導下さい。

追伸?キッカケは息子のヤマハが壊れたことから全てが始まったのです。

(初出:ナナカマド短信20号/2006年1月29日)


マイ・ウエイ

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 突然ですが、さる2月15日夜にちょうど杉並公会堂の向かいにあるジャズライブで、マイウエイをフルートでやりました。サクラで来てくれたTI氏に「取り合えず良かった」という含蓄のある批評を頂きましたが、
会の皆様のア然とした顔が想像出来ます。
 フルートの楽譜なんか在りませんからメロデイを頭に浮べながら吹くだけで、私の大好きなパターンです。プロのピアニストも慣れたもので、なかなか気持ちよく楽しめました。
 これに味をしめ、3月13日には六本木ミステイでFly me to the moon をやろうかと画策しています。(恥を知れ!)
 
 小山裕畿君という2006年全日本コンクール優勝者で慶大1年在学のフルートを、青葉台駅前のフィリアホールで聴きました。
 当日の聴衆は中高年の音楽関係者風がやたら多く、かなり注目されているようです。現代曲などのテクは完璧で流石は、と思いましたが、アルルの女のメヌエットまでノンビブラートで演奏されると、何か勘違いしていませんか、と言いたいです。「もう一度聴きたい」とか「CDを買いたい」とか思いませんね。上手なフルーティストは沢山いても、もう一度聴きたいと思う魅力のあるフルートにはなかなか遇えません。
 フルートは音色と演奏と両方魅力が必要ですが、ピアノ等世界的な超有名人でも、ただ弾いているだけみたいな演奏を聴くとガッカリです。ポリーニなどその典型でしょう。こんな私が言うのも何ですが、「もう一度聞かせて」という演奏を是非心がけたいと思いますが、いかがでしょうか?

(初出:ナナカマド短信29号/2008年4月6日)


フルートを楽しむ

N  T  


   私の練習法と云うより、どうやって遊んでるかのレポートです。気楽に読んで下さい。

 会社で仕事の後20分から2時間位戯れます。だから土日は暇を見つけて会社で吹きます。まず基音のソを吹いてファミレドと下がって、しっかり音が出たら上に上がって行き3オクターブのソ迄吹きます。そこから暗譜してる数曲を続けます。アルルの女のメヌエット、ポロネーズ、バディネリ、ハイドンのセレナーデ、G線上のアリア、アベマリア、精霊の踊り等を全曲又は数小節吹いてひと休みコーヒータイムです。後は浜辺の歌・ダニーボーイ・影を慕いて等を、自分の好きな調で移調したりして遊びます。テレビの歌に合わせて吹くのは、なかなか良い移調の練習になります。C#やA♭なんかは普段絶対使いませんから。また、装飾を外しすべてタンギングで吹いてみたりもします。しかしダブルやトリプルは本を読んでもサッパリです。チャルダッシュは永遠に無理か?
 こうして、だいたい十時頃帰宅します。ここまで譜面は全く見ません。ですが新しい曲は当然譜面を見ます。勿論初めは音名で練習しますが、メロデイを覚えるとそこからその調の階名になって暗譜になってしまうのです。「蝶蝶」はどの調で吹いてもソミミ・ファレレで、ラファファ・ソミミには絶対なりません。きっと小山先生には理解していただけるかと思います。
 譜面を見て吹くのが嫌いではないのですが、暗譜して目を閉じて演奏すると、ハッキリと自分の音が聞こえてとても気持ちが良いのです。だけどイメージ通りにふけていない情けない自分も同時によく解ります。レベルが違うから誤解しないで欲しいですが、ヴァイオリンの川畑さんやピアノの辻井さんは普通の人の100倍自分の音が聞こえてると思います。勿論私でもアンサンブルでは譜面を使います。

 次に日頃感じているフルートの演奏について戯言を言わせて下さい。
 mfで適当にビブラートの付いた音は、実に美しい。正にフルートの最大の魅力です。しかし曲全部をこの音質で演奏したら、きっと退屈なものになるでしょう。初めがステーキで真中もステーキ、デザートもステーキだったら、感動しますか? ヴァイオリンほどの表現力は無いとしても、フルートでもpやppを出す勇気が必要と思います。私の場合は小さな音量を狙うと音にならないことが、特に3オクターブのF#やGで問題なのですが。しかし、友人のギタリストは「ギターのコンサートでppを出すのは(聴衆に聞こえないおそれがあるので)覚悟がいる。フルートは音量があるからいいですね」と言います。サントリーで聴いたゴールウェイは、あの大会場の後ろでも素晴らしいppの音色が響いていました。とても感動的なリサイタルでした。ヴァイオリンでもピアノでも集中力を持ったpやppが印象深い演奏を創ると思います。
 チャイコフスキーの自筆楽譜にはfからfffffまで、pから5pまでもの指定があるそうです。自分の曲を必ずそう演奏して欲しかったのでしょう。しかしffとffffの違いって何ですかね? 私が思うにフォルテシモは絶対にうるさく無い事、ピアニシモは滲みるような余韻が感じられる事、特に弱音の美しい演奏はソロであれシンフォニーであれ、感動的な演奏が多かったように思います。

 云い忘れましたが、私がフルートの練習で、はてな?と思った事があります。それはインターバルを取ると、そのあいだに技術がガクッと進歩するという不思議です。練習20分?休み5分?また練習20分、というパターンのことも、練習2日?休み1日?練習2日、というケースのこともありました。皆さんも、たとえば1週間休んだら突然良くなったというような経験をされた事がありませんか?
 思うに時間と進歩は正比例で無くて、まさに階段状かなと。プロは今の技術を落さない為に毎日5時間レッスンするけど、私は向上の糊代がいっぱいあるからでしょうね。よく受験勉強で言われた、学習のあとに睡眠時間を取ると知識が固定化するのとも良く似ている気がします。

 3カ月ごとのナナカマド研修会が無ければ私もここまで続かなかったと思うにつれ、実に良き仲間に巡り会えたといつも感謝しております。これからもアドバイスよろしくお願いします。
 アルタスとモイーズを毎日1時間、3年間続ける! これは願望です。そうすれば、きっといつかチャルダッシュも出来る、かな?

(初出:ナナカマド短信36号/2010年1月24日)


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